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2011年12月

Report.22“キー・パーソンたちの長い夜”

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『消滅戦街道』では、最前線での闘いに挑む自衛隊メンバーの活躍と平行して、事態の収拾にあたる“背広組”の人々の様子も描かれていく。

彼らの台詞のひとつひとつに、制作者である僕からの観客の皆様に対するメッセージが込められていると言っていい。

「危機管理局・防衛対策本部別室チーフ 岡崎」役の塩野さんは官僚的な組織、庶民不在の“政(まつりごと)”のあり方の危うさを。

危機管理局・情報対策本部補佐官 角倉」を演じる萩原さんには、まさに僕自身が普段から感じている危機感や悲しさを代弁してもらっている。

そして「防衛省・危機管理局付士官 長谷部」役の瀬川君が、この二人の橋渡し的な役割を担ってくれる。

……そんな彼らが熱演を披露する舞台として僕が最初に選んだのは、普段から仕事でお世話になっている大手映像関連会社の自社ビル内にある高級な会議室で、ここはよく映画に登場する「作戦室」的な、ちょっと近未来的な雰囲気を持っており、また都内という地の利もあり、会社内の方にお願いして撮影させて頂くことになっていたのだが……当初の撮影スケジュール直前になって思わぬハプニングが生じた。
この会社内部の都合で、会議室が当面使用できなくなってしまったのだ。

映画全体から見てもかなりのパーセンテージを占める、3人のキー・パーソンを撮影する場所が無くなってしまった!

ホトホト困り果てていたのだが、ハッとある方を思い出し、ダメ元でメールを差し上げてみることにした。

それは東京情報大学で「映像メディア論/映像表現法」の教鞭をとっておられる伊藤敏朗 教授である。

伊藤先生は本当に熱心な方で、映画そのものを愛しておられるというのか、モノをつくることの喜びを熟知していらっしゃる。
今から10余年前、我々がオリジナル特撮アクションシリーズ『VISUAL BANDITS』の特撮シーンを撮っているとき、学生さんを連れて現場まで見学においでになったことがあった。
また先生ご自身も学生さんたちと一緒に様々な映画をお撮りになったり、ご自身も海外に渡って現地スタッフと交流しつつ映画をお撮りになるなど、多方面で人材育成、創作活動を続けていらっしゃる。

※伊藤敏朗 教授 オフィシャルウェブサイト
   http://www.rsch.tuis.ac.jp/~ito/


こういった伊藤先生のご活動の一端がご縁となり、以前は楽しい交流をさせて頂いていたのだが、かれこれ7~8年、ご無沙汰してしまっていた。

あまりにご無沙汰しているので、突然メールを差し上げるのは失礼ではないか? またはもうメールアドレス等の連絡先が変わってしまっているのではないか?……と不安に思いつつ、恐る恐る現在の状況と、大学内の建物をロケで使わせて頂きたい旨メールに記して送らせて頂いた。

すると、ナント翌日には大学内で使えそうな場所の写真とともに、懇切丁寧なお返事のメールを頂くことができた。
恥ずかしながら、涙が出るほど嬉しくなり、またそのお心遣いが有り難く、人とのご縁は本当に大切にしておくべきだ、これこそ大切な財産なのだと、あらためて痛感した。

……こうして伊藤先生のご厚意に甘えることとなり、東京情報大学内でのロケが実現した。

ここでは、ストーリー中かなり重要な「対策本部」……作戦室を撮らせて頂くほか、プロローグ、ラストシーンを含む様々な人間模様を描くシーンを相当量 撮らせて頂く予定なのだが、まず一発目はスケジュールの都合上、対策本部以外のシーンをすべてまとめて撮らせて頂くことにした。

撮影は2011年12月3日
本編ドラマパート、撮影2日めである。

午後、メインキャストの萩原さん、塩野さん、瀬川君と、いつも精力的にお手伝いしてくださる中島さん、そして学生時代からの長い付き合いで、自主製作映像集団TEPPROJECT作品にはいつも参加して技術サポートをしてくれる高山カツヒコ君と千葉駅で合流、わざわざ伊藤先生がご自身の車で迎えに来てくださり、東京情報大学へと向かった。


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いくつもある会議室、応接ルームを使わせて頂き、事件の渦中へと入っていく角倉たちを描いていく。

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モダンな佇まいのエントランスや廊下も大学特有の飾り付けを外させて頂き、ちょっと変わった官公庁舎的な雰囲気で撮る。
レール、クレーン、各種照明など、機材のオンパレード。


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冷徹な岡崎が人間的な一面を見せるシーンを熱演する塩野さん。

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元警部補でもある角倉と自衛官の長谷部が、戦場の遺留品から見つけたものとは……。


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写真左端で角倉の芝居を見つめているのが、今回全面協力してくださる東京情報大学の伊藤先生である。
ご自身も立派な映画をお撮りになっているので、こちらも学校の先生に採点されているようで緊張する(笑)
しかし先生ご本人は本当に温厚な方で、撮影前にロケハンにうかがった際など、学生さんたちから慕われているのを強く感じた。
伊藤先生のような恩師に恵まれた若者は本当に幸せだ。


―――― 途中、機材トラブルがあったり、難しい台詞のシーンで多少のNGは出たものの、撮影自体はスムーズに楽しく進んだ。充実感満点である。

……問題は、監督である(笑)


せっかくこんなに素敵なロケ場所をご提供頂けたし、キャストも素晴らしいので、ここぞとばかりに欲張ってクレーンやレール等の特機を活用して、また俳優陣の微細な表情の変化や手先の動きなどのディテールをなるべく細かく拾おうとしてテイクを重ね、予定の3倍ほどのカット数を撮ったため、思いの外 時間がかかってしまい、すべての撮影が終了したときには午前零時をとうに過ぎた深夜だった。

多少は遅くなるだろうと予想して終了予定を最悪午後9時から10時頃かと見積もっていたが、3時間以上オーバーしての終了となった。

それでも出演者メンバーの皆さんはとにかく集中して演じてくださり、スタッフメンバーの皆さんの頑張りとセンスも素晴らしかった。
伊藤先生もお仕事でお疲れだというのに、最後までニコニコとお付き合いくださった。

本当に、皆さんに大感謝である。


東京情報大学内では、10日に残りの「対策本部」シーンのロケを予定している。

この日はスケジュールの都合で午後の撮影時間があまりとれないため、もしかしたら1日では撮りきれず、もう1日追加で大学にお邪魔する可能性もあるのだが、とにかくこれだけ素晴らしい素材、人材を提供して頂いているのである。手を抜かず気を抜かず頑張って撮りたいと思う。

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Report.23 “対策本部 始動”

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「危機管理局・情報対策本部補佐官 角倉」役の萩原さん。
「危機管理局・防衛対策本部別室チーフ 岡崎」役の塩野さん。
「防衛省・危機管理局付士官 長谷部」役の瀬川君。


……この三人のキー・パーソンが、1年近く前から脚本を読み込んで5回以上のホン読み、立ち稽古を続けてきた事は以前からリポートしてきた。

彼らの登場するシーンはどれも重要だが、なかでもいちばんの長丁場となり、密室劇的要素が強く、手に持つ小道具が少ないぶん芝居が難しいのが、この作品で描かれる緊急事態……某国による捨て身の侵攻(劇中では“大規模なテロ行為”と認定される)に対処するため急遽設置された臨時対策本部で情報の収集と分析にあたるシーンだ。

2011年12月10日

今まで続けてきた立ち稽古の成果を最も発揮する撮影の日がやってきた。

前回より全面協力をして頂いている東京情報大学で「対策本部シーン」一回目の撮影である。
午前9時に千葉駅集合なので、5時起き6時半出発の久々の早朝ロケだ。

今回も東京情報大学・映像メディア論/映像表現法の教授、伊藤先生が温かくお迎えくださり、駅から大学への送迎、ロケセットとなる同大学内サブメディアホールの飾り付けに使う各種機器の貸し出し、お弁当の手配までしてくださり、そしてまた伊藤先生とともに先生の教え子の学生さんお二人が、お忙しい中エキストラとして出演までしてくださることになった。

僕としてはもう、東京情報大学に足を向けて寝られない状態である。


また、映像学院時代の後輩 北村君、そのお友達で女優の木皿木 桃さん、そしてキャスティングの面などでもご協力頂いた安藤さんがエキストラとして出演してくれることになり、賑やかな現場になった。

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―――― 今回は出演者の皆さんそれぞれのスケジュールの都合で午後遅くまでの撮影は出来ないため、この日だけでは撮り切れまいと思い、とにかく皆さんのスケジュール優先でシーンの撮影順を決めてかなりのアップテンポで撮影を進めた。


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ホン読み・立ち稽古のときのニュアンスを一所懸命に思い出しつつ熱演する萩原さん。


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役柄を深く考えて表情をつくってくれる瀬川君。

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シリアスでステレオタイプなキャラを演じつつ、撮影の合間には現場を明るくしてくれる塩野さん。


……こういう撮影で本当に大きな力となって助けてくれるのが、スタッフとして参加してくださった皆さんの精力的な動きである。

この作品の撮影ではいつも手伝ってくださる中島さんをはじめ、過去には『VISUAL BANDITS』を含む多くの作品での撮影監督を務めてくださったベテランキャメラマンの恒田さんが自前の機材とともに現場に入って照明のセッティングをしてくださり、また同じく『VISUAL BANDITS』をはじめとして様々な映像作品で一緒に仕事をし、自主映画づくりも一緒に楽しんでくれた粕谷君仕事の現場で製作進行・助監督・演出などをこなして頼りになる小島君が駆けつけてくれて、現場の段取りの仕切りをやってくれた。


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皆さんのおかげで、限界に近いスピードの撮影で午前10時から午後3時過ぎまでの撮影で47カット(OKカットのみ)を撮ることができた。
また、出演者の皆さんの奮闘も素晴らしく、ホン読み・立ち稽古の甲斐もあってほとんどNGが無く、気持ちよいテンポで撮影を進めることができた。
これは演出者にとって、本当に有り難いことだ。


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シーンの流れに沿って、当初は比較的スタンダードなキャメラワークで撮り、続いて話が込み入ってくると画面のレベル(水平)を崩して意外性を狙い、深刻な会話に入ると手ブレを生かした手持ち撮影に切り替わる……という、これはもう20余年変わらない僕のクセというか好みというか、絵づくりの一種の特徴なのだが、密室劇的なシチュエイションの中で出演者の皆さんが良い表情、良い芝居をしてくれたおかげで、この“バカのひとつ覚え”のような(笑)僕のクセも、少しは生きたかなと思う。


また今回は特別ゲストとして、加藤さん率いるHIT AND RUN の一員で自主映画出演の経験もあり、加えて僕の大好きなホビーショップの名物店員さんである五嶋さん、そしていつもは裏方に徹して現場で黙々とお手伝いしてくださる中島さんのお二人が、渋いスーツ姿で出演されているのも見所だ。

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五嶋さんは撮影前日まで、娘さんに相手をしてもらって台詞と動作の稽古をしていたという(笑)
その努力もあって「これはまたシブイ人達が画面に現れたなぁ」と思わせるインパクトのあるシーンを撮ることができた。

さて、これからのシーズンは何処の大学も忙しくなる。
見学、受験……もちろん東京情報大学も例外ではない。
残ったシーンの撮影は、また来年 東京情報大にお邪魔して行うことになる。
しかしこの日の撮影の様子で、次回の撮影もきっとうまくいくだろうと手応えを感じることができた。


―――― それにしても、思い返せば本当にいろいろなことがあった一日だった。

撮影が一段落して皆で食事をとり車に分乗、帰路に就いたのだが、夕刻の渋滞に巻き込まれて高速をノンビリと走っていたとき、中島さんの携帯電話が鳴った。
それは九州にお住まいの中島さんのお父様が急逝されたという知らせだった。
既に80代半ば、少し病を持っておられたようだが、横になってお休みになったまま亡くなられ、あまりに安らかに天国に行かれたので、同居のお母様もしばらく気づかなかったのだという。

私事をほじくりだして恐縮だが、九州など地方から出て来て都内で生活する者にとって、郷里の身内の死は予想以上に慌ただしいものである。
とくに映像製作など、不規則な生活を余儀なくされる職を持っていると、何かあったときすぐ帰省するということが難しい。
僕は自分が28歳のときに母が亡くなったが、このときはたまたま年末だったので帰省することができ、最後に立ち会えた。
しかし僕が40歳の頃、かねてより入院中だった父が亡くなったときは、地元の姉から「どうやらここ数日が危ないらしいから帰って来られたらそうしたほうがいい。縁起でもない話だけど、喪服が必要になるかも知れない」と電話をもらい、翌日いささか気落ちしつつ紳士服店に入り、喪服を購入して裾の寸法を直してもらっている、まさにその最中に「今、お父さんが亡くなった」と電話がかかってきた。
僕は買ったばかりの喪服を手に、翌朝いちばんの飛行機で帰省した。

中島さんも、一刻も早く帰省されたほうがいい。
ここで、この日のスケジュールが大きく変わった。
今月16~17日に予定されている撮影でも中島さんに衣装、小道具の面で多大なるご協力を賜ることになっていて、撮影前日までにそれらをロケ地へ搬入しなければならなかったのだが、お父様のご葬儀のことを考えると、自主映画のお手伝いのために都内にいて頂くなど、もってのほかである。

さてどうしたものか……と考えていたら、中島さんからのご提案で「ぜんぜん構わないから、今日のうちにやっちゃいましょう!」ということになった。

そこで急遽予定を変更して、この日の撮影に使った機材を府中市内の拙宅に搬入。その後、今度は中島さんのご自宅と倉庫を回って小道具・衣装類を出して頂き、その場で選別・整理。それらを車内がパンパンになるほどに詰め込んで16日からのロケ地となる世田谷の西東京物流さんの倉庫に搬入。西東京物流さんのお仕事の邪魔にならぬような場所に積み重ねて置かせて頂いた。

……一連の作業と移動が完了して、中島さんと遅い晩飯をとり一服つけたときには、午前1時を回っていた。
翌日は午前中から仕事、その翌日は朝一番の飛行機で帰省してお父様の葬儀の準備をしなければならないというのに、こんな時間まで付き合って頂き、必要な作業を済ませてくださった中島さんに大感謝である。

『消滅戦街道』という作品は、こういう方々のご厚意に支えられているのだと改めて感じる。

僕自身の、お世辞にも上等とは言えぬ過去の経験から言っても、1ヶ月ほど準備して2~3日で撮り終わるショートフィルムと違い、準備も撮影も長期間に渡る作品に携わると、その製作期間中には思いも寄らない出来事に遭遇することが多いものだ。
まるで作品の撮影スケジュールと撮った映像そのものが日記代わりのようなもので、後々何十年経っても、撮った映像を観ると、このシーンの撮影のときにはこんなことがあった、この日はどうだった……と、鮮明に思い出すものである。

『消滅戦街道』の撮影がすべて終了したとき、いろいろなことがあったが思い出に残る体験だった……と、皆に思ってもらいたい。
そんなことをツラツラと考えてしまった日だった。

最後になりましたが、中島さんのお父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


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(TAC宮本 2011年12月12日)

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Report.24 “今年のトリを飾る”

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2010年秋に決定稿が完成した『消滅戦街道』は、2011年8月27日に“劇中、テレビモニターに映る映像”からクランク・イン。
本編ドラマパートのクランクインは11月29日だった。

そして12月16~17日の2日間が今年最後の撮影となり、かつ本作の大きな柱の一本である「自衛隊員メンバー」の皆さん初登場の撮影となった。

結局、2012年度の撮影日数は非常に細かいものも含めて12日間。
全35シーンのうち12シーンぶんと、3シーンの一部を消化したことになる。

各種特撮を使用するシーンがおおかた残っているし、それを考えればまだまだ道程は長いが、普段は仕事をしている大人数の社会人がスケジュールを合わせて集まり、8月末から撮り始めたということを考えれば、これほど撮らせて頂けたとは本当に御の字で、これも参加してくださった皆さんのおかげだ。

―――― さて、今年のトリを飾る16~17日の2日間も幸い天候に恵まれ、出演者・スタッフの皆さんの素晴らしい頑張りもあって慌ただしくもスムーズに進み、大きなトラブルやケガもなく、最後まで高いモチベーションを維持して楽しく撮ることができた。


16日の撮影は、まず午前中がリポーター・真理子とカメラマン・遠藤の出番。
二人が自衛隊駐屯地を訪れるくだりの続きと、大事件の現場に到着するシーンだ。


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お馴染みの高山君、帰省先から東京に戻ってこられた中島さん、チームHIT AND RUNの加藤さん、粕谷君が駆けつけてくれた。

まずは、事件の現場近くに辿り着き、不穏な気配に気づく真理子と遠藤。

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真理子役の川渕さん、遠藤役の志田さんは二人揃って本格的な脚本読み合わせをする機会が無かったのだが、現場では息がぴったりでイメージ通りのコンビネーション。撮っていても楽しい。


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続いて、自衛隊駐屯地の様子を見る車内の二人。
高山君が仕事の移動に使っているワーゲン・ゴルフのステーションワゴンを劇用車として借りての撮影。
11月29日に撮影した部分と直結するカットもあったのだが、ラッキーなことに似た天候になってくれたので、つながりが良さそうでホッとした。


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……午後は世田谷の西東京物流さんの倉庫前に移動。ここで前線で闘う自衛隊メンバー勢揃いである。

この日は出番が無い隊員役の方や、戦車隊員役の佐藤さんまで見学&お手伝いに来てくださった他、素晴らしい役者さんをご紹介してくださった諏訪さんのグループの皆さん、そして劇映画やドラマのガン・イフェクトの老舗“BIG SHOT”の方々まで遊びに来てくださり、大人数で楽しい撮影となった。


ところで、映画の撮影に「待ち時間」はつきもの。
午前中からロケ地に到着していても、午後まで出番がない……などということも多い。

この日の撮影でも自衛隊員メンバーの皆さんの待ち時間が長かったのだが、場所をチマチマと移動しつつ撮影準備をしていると、遠くから、

「ハイ今度はコッチ!行きますよ、Go!GoGo!!」

……と、気合いの入った加藤さんの声と、軍服に履くブーツ特有の足音がバコバコと聞こえてくる。

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何事かと覘いてみると、さすがアクション映画撮影&サバイバルゲームチームHIT AND RUNのリーダー 加藤さん、自衛隊員役の役者さんを相手に軍事教練さながらのトレーニングの真っ最中である(笑)

ハリウッドの有名な戦争映画の撮影で、俳優陣に軍事教練をさせてリアリティを高める仕事をしている元海兵隊員のデイル・ダイという人がいるが、まさに加藤さん、デイル・ダイばりの所作指導で頑張っている。

銃を構えつつの前進方法や射撃姿勢、フォーメイションの形作り方……例えば負傷した隊員を分隊長が保護する際、他の隊員が一緒になって面倒を見るより先にまずは皆で囲い込んで全方位に銃口を向けて警戒態勢をとるなどなど、細やかに教えてくださった。
おかげで隊員役の皆さんもコツを掴んでくださったようで、走る、銃を構える、遮蔽物に隠れるといった動作にキレとリアリティのある絵が撮れることになった。

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まさにこの日、瀕死の隊員を救おうとする緊迫したシーンの撮影等もあり、加藤さんのレクチャーが早速生かされることになった。
加藤隊長に大感謝!である。

……さて、こういった映画の撮影現場では、いつ何が起こるとも限らず、俳優さんのセキュリティが問題になることがある。

とくに女優さんの保護は最重要課題だ。

しかし今回の作品では、その心配はないようだ。

これほどセキュリティ万全の女優さんは他にはいないだろう。

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……と、これはまァ冗談だが(笑)

せっかくメインキャストの皆さんが揃ったのだから……と、中島さんが撮ってくださった記念の一葉。

これだけのメンバーである。絵にならないワケがない。


       × × × × × × × × × × × × × ×


―――― 明けて17日。


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今年の撮影最終日である。
最前線の自衛隊員関係のドラマ部分に特化した撮影だ。
この日も西東京物流さんに集合。
派手な弾着、爆発は場所を変えての別撮りや特撮、デジタル合成を使うことになるとは言え、激しい動きもあり、シリアスなドラマ展開部分もあり……と、バラエティに富んだ撮影内容となった。


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前日に引き続き高山君、対策本部シーンから合流してくれた演出部の小島君、そして映像学院時代の後輩で自主映画等ではいつも手伝ってくれる北村君、牧野君、加えて「長谷部」役の瀬川君、撮影用50口径機関銃の作者として以前ご紹介した宇野澤君が駆けつけてくれた。
また加藤さん率いるチームHIT AND RUNの薗田さんも来てくださり、メイキングビデオ撮影をして頂いた。

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何せ閑静な住宅地の真ん中に突然、武装した陸上自衛隊一個分隊が展開するのだから、ナニゴトか?といろいろなギャラリーが集まってきても不思議ではない(笑)

この日は、出番としては少ないものの強く印象に残る出演者の方々のシーンを消化するのも優先課題のひとつだ。


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負傷した偵察隊員を演じてくださった小野さん。
ボディアーマーに染みた血糊が痛々しいが、諏訪さんとの掛け合いでドラマチックな熱演を披露してくださった。
本作の見所がひとつ増えたと言ってもいい。

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ラスト近くでは役者として出演もする丸林さんは、美術の面でも協力してくださっている。
某国空挺部隊の女性狙撃手を演じるHIROさんに、小道具のひとつとなる拳銃“トカレフ”の操作方法をレクチャー。

このHIROさん、さすが普段は格闘技も嗜んでいるだけあって、衣装に身を包んで狙撃銃“ドラグノフ”を構えると……

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このとおり!
ビシッと決まって美しい。彼女は後々、衝撃的なシーンにも登場することになる。


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やはりラスト近く、意外な役柄で登場する高橋さん。
急な出演のお願いに快く対応して頂けて、自衛隊員役の古賀さん、田坂さん、そして丸林さんと絶妙の掛け合いを展開してくださった。


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こちらは、恐らく主要な登場人物の中では最年少となる連さん。
出番としては短いが、作品のテーマにも関わるというか、大変インパクトの強い登場で、印象に残ると思う。
う~ん、モテそうだなぁ。
宮本のおぢちゃんとこの子にならないかい?(笑)


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この日はドラマ部分の撮影が主だったとはいえ、一部に激しいアクションや火薬を使う場面もあった。
そんなときは劇用火薬取り扱いの資格を持つ高山君の独壇場。
後々使うことになるだろうとロケット弾の飛翔実験もおこなったが、ちょっとしたアトラクション的な要素があって、撮影待ち・休憩中の役者さんたちにも楽しんでもらえたのではないだろうか。

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田坂さんが構えているのはTEPPROJECT作品名物「実在しそうでしない架空の兵器」シリーズ(笑)
オリジナル・デザインの対戦車誘導弾ランチャーだ。
実際の陸上自衛隊では01式軽対戦車誘導弾 通称「マルヒト」が使われているが、TEPPROJECTのランチャーはそれを参考にしつつ、かなり違う形に仕上げている。
この誘導弾発射シーンも見せ場のひとつ。


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誘導弾の発射、うまく撮れたかな……と、興味津々でカメラの小さいモニターを覗き込む一同。
誘導弾は、ほぼ真正面でカメラを構えていた僕の耳を擦るんじゃないかと思うほどの至近距離を飛び、思わず身をすくめそうになったが、なかなかの迫力で撮れていた。
現場処理の、CGでは出せない生々しさがいい。


ちなみに、撮影済みの映像からの連続抜き焼きがコレ。
まったくの未加工の映像である。


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どんな映像になっているかは<映画完成後のお楽しみということにしておこう。


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撮影そのものは大きなトラブルもなく極めてスムーズに進んだものの、残念ながらスモークマシンの調子が悪い!
そこで急遽TEPPROJECT作品ではお馴染みの(笑)タバコの煙を使ってのスモーク効果に挑戦。
丸林さんにお手伝い頂き、カメラの横に取り付けたチューブからタバコの煙をレンズ前に送り出し、漂う硝煙を再現してみた。
しかし、何本も立て続けにタバコを吸わされる丸林さんはたまったもんじゃない(笑)
本当にお疲れさまでした!


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普段はまず着ることのない衣装・装備を身につけ、重い銃を抱えて駆け回るのはラクな仕事ではない。
中腰でカメラを構えて動きを追う僕自身もそうとう疲れて、撮影後は足腰が痛かったのだが、役者さんはその数十倍大変だったと思う。

一連の動きを撮っては休憩、これを繰り返しての撮影。
本番中は凛々しく、また険しい表情で演じている皆さんだが、休憩時間や待ち時間に見せてくれる穏やかな笑顔がまた素晴らしい。


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それにしてもこの二日間、陽が沈む速さが本当に怨めしかった。

この季節特有の、斜陽の影の雰囲気はドラマチックで良かったのだが、夕方5時前には明るく撮れるビデオカメラでも限界なほど暗くなり、最後は照明機材を引っ張り出して来てナントカ撮りきったが、皆さんの力の入った演技が本当に素晴らしく、あと一時間、いやあと30分だけでも撮っていたいという気持ちにさせられた。
暗くなったから今日の撮影はここまで……ではあまりにも惜しい演技ばかりで、とにかく予定のカットはちょっと無理をしてでも撮った二日間だった。

記録写真にもその熱気が伝わってくるものが多く、皆さんにお見せしたいのは山々なのだが、ネタバレになってしまってもツマラナイ。
ぐっと我慢して、ここへの掲載は控えておくことにしよう。

―――― ここで一息ついて美術・小道具や撮影機材を整備した後、来年はまた対策本部シーンの続きや別のロケ地での戦闘シーンの撮影等が待っている。

ロケそのものが無くても、映画の製作・各種作業は継続中である。
年末年始でチョット英気を養い、また新鮮な気持ちで撮影に臨みたい。
良いキャスト、スタッフに恵まれ、来年の撮影が今から本当に楽しみだ。

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(TAC宮本 2011年12月18日)

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