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Report.34 “ 戦車隊 出動せよ!"

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―――― またまた久しぶりの本格的な撮影になってしまった(^^;)


本編の中で、最前線に到着した陸上自衛隊 普通科連隊(昔の軍隊風に言えば「歩兵部隊」)を援護すべく、戦車隊がたびたび敵の攻撃に遭遇しつつ突進するシーンがある。
本編ドラマ・カットと特撮カットが密接に絡み合う「見せ場」のひとつだ。

そのシーンの撮影のために、現在 陸上自衛隊で使用されている10式戦車の砲塔部分の実物大セットが必要になるのは脚本完成時から解っており、ナントカ自分達で製作しなければ・・・と、前々から考えていた。


・・・ちなみに、こういったメカの実物大セットを使用した撮影は過去にも何度か経験がある。



『目覚めよと呼ぶ声あり』
では陸上自衛隊・74式戦車のキューポラ部分を製作。


『砂丘の残像』
では、オリジナルデザインの装甲車の車内と車体天板部分を製作。

(株)VAPから発売されたオリジナルSF特撮シリーズ『VISUAL BANDITS』では、主人公のジャーナリストが“商売道具"として使っている通信衛星放送車の車内セット、そしてオリジナルデザインの陸上自衛隊・偵察戦車のキューポラ部分を製作。


円谷プロダクションで監督させて頂いた『ウルトラマンネオス』
では、小型高性能多目的戦闘機という設定の航空機“ハートウィナー"の実物大コクピットのセットが製作され、撮影に使わせて頂いた。


どれどれ、今回も低予算・手作りパワーで頑張りますか・・・と思っていたところ、何とも不思議なご縁で、遠藤一平監督作品『プラシーボ』の撮影に使用するため、工藤秀昭さん(工藤美術)がお作りになった10式戦車の砲塔部分の実物大セットをお借り出来ることとなった。


コレは、1/24スケールのラジコンモデルだが、工藤さんがお作りになったのは、この部分と側面である。


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遠藤さんのご紹介で工藤さんにご連絡差し上げたところ、非常に親切な方で、親身になって話を聞いてくださり、様々なスケジュールの調整を経て2016年2月21日、撮影を敢行することとなった。
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ちなみに遠藤さんの作品『プラシーボ』も、このご縁で画面合成等をほんの少しだけお手伝いさせて頂いたが、これがもう異色の大作!

非常に新鮮なビジュアルイメージが次々と現出する、特撮を駆使したSFファンタジーで、完成が本当に楽しみだ。





・・・サテ、撮影日が決まったとなれば、大急ぎで準備をせねばならない。

まずは、戦車隊員特有のヘルメットの製作である。

実はこのヘルメット、もう何年も前に作り揃えてあった。

ところが・・・ご承知のとおり、製作が長期間延期となり、放置されている間に、嗚呼 低予算の手作り品の悲しさよ(笑)
アッチコッチが壊れてしまい、部品も紛失してしまった。

このヘルメットが無事な形で使用されたのは、NPO法人「映画甲子園」様のご依頼で「高校生向けの特撮セミナー」の講師を務めさせて頂いた際に用意した教材DVDの撮影だけ・・・つまり、この「初代版・戦車隊員用ヘルメット」を被ってカメラの前に立ったのは、このDVDで主演してくださった山﨑智美さん唯一人・・・ということになる(笑)





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http://tep-motionpictures.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/dvd-e9e2.html



よし、心機一転、もーいっちょ作ってやろうじゃないか!

初代は俳優さんの動きやすさを優先してシンプルな造作に仕上げたが、今回は10式戦車の実物大セットに見合うボリュームに仕上げようと、少し違う形状にこしらえてみた。



・・・ここで、もうひとつ問題が発生。

遠藤さんの作品『プラシーボ』では、車長用キューポラから俳優さんが顔を出して演技するので、セットはキューポラとその周辺のみが作られていたのに対して『消滅戦街道』では車長と射撃手の二人がそれぞれのハッチから上半身を出して会話するシーンがあり、射撃手側まで天板とハッチを作り足す必要があった。

これは、いつも手伝ってくださっているお友達の協力でベースとなる厚めの板を加工、僕のほうでそれらしい突起物・・・つまりディテールを追加して、工藤さんのお作りになったセットに増設させて頂くことで解決することにした。


撮影前の土曜深夜・・・その工作を行っている間、これは明日の撮影は無理ではないか??と思えるほどの激しい雨で不安にかられたが、一夜明けて撮影当日になってみると、風は相当強いが、絵に描いたような日本晴れ。
ホッと一安心である。



―――― 今回の出演者は、普通科連隊の救援に向かう戦車隊長であり10式戦車の車長でもある由川さん、同じ車体に乗る射撃手の佐藤さんのお二人。





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思い返せば、脚本の読み合わせ、衣装合わせから既に5年以上・・・本当に辛抱強く、出番を待っていてくださった!
それだけでも、感謝感激である。

スタッフは僕、いつも手伝ってくれるナカシマさん、カスヤ君、そしてフリーのディレクターで自分でも自主映画をお作りになっている服部さん。
加えて、なんとメインキャストとして頑張ってくださっている田坂さんが“現場お助けマン"として名乗りを上げてくださった。
そして・・・この男臭い(笑)現場に紅一点。
服部さんのお友達、佐藤さんが急遽 駆けつけてくださり、本当に細やかに気を配ってお手伝いしてくださった。

久しぶりの撮影で、このメンバー!
これまた感謝感激である。

しかも・・・10式戦車のセットは別の作品の撮影に使われた際、デザートイエローに塗り替えられた・・・との話をうかがっていたので、現場に到着してまず一発目の作業はセットの塗り替えか、撮影時間が足りないかも知れないから急がねば・・・と思い、車に多めのペンキとハケを積んで現場に向かったところ、ナント!工藤さんが早朝から現場に出向いて、セットを元の陸上自衛隊車輌の色に業務用大型スプレーガンで塗り直してくださっているではないか!

これにはもう、本当に胸が熱くなってしまった。

個人作業でコツコツと作るアニメーション作品は別として、このような映画は多数の人間の共同作業で進む。
とくに営利目的ではないインディーズ作品は、大勢の人々の親切と、善意なしでは作業が進まない。
そんなことを痛感した撮影となった。









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―――― 撮影自体、殊の外スムーズに進み、チョット風が強すぎるかな? と思ったものの、この強めの風がフォグメーカーから噴出されるスモークを良い感じで流してくれて、もちろん由川さん、佐藤さんの見事な熱演もあり、非常に良いカットが撮れた。


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ここでチョット、余談を・・・(^^;)

戦車にお詳しい方が写真をご覧になれば、このセットが実物の10式戦車と少々形状が異なる・・・とくにキューポラに装備されているブローニング50口径12.7ミリ機関銃の弾薬箱と、薬莢受けが無いのにお気づきだろうと思う。



実際、現場には弾薬箱、薬莢受けの部品が揃っていた。

しかし、それらは敢えて取り付けていない。

・・・というのは、映画の設定で、これは「実戦」であり、10式戦車は侵攻してきた敵装甲車輌(戦車)を撃破するために出動するのであって、50口径機銃を撃つ必要は無い・・・という、いわば「裏設定」。


そして、やや大きめの部品である弾薬箱、薬莢受けを取り付けた場合、せっかくの2人の俳優さんの演技がそれに隠れてしまう・・・という、2つの理由からだ。




また、実際の10式戦車は緑と茶の2色で迷彩塗装が施されているが、今回は緑1色のままで撮影している。


これまた、塗装用の茶色のスプレーは多めに準備していたが、現場で緑1色に塗られたセットを見たとき、太陽光の加減で重量感、リアリティは充分だったし、2色に塗ってそれぞれ微妙に艶の加減が違っていたり、特撮で使う10式戦車のミニチュアモデルと迷彩のパターンが違ってしまって、それが気になるよりも、緑1色で塗られた実物大セットをシャドゥを活用した太陽光下の逆光気味で撮ったほうが、後々の特撮とのマッチングが良い・・・と判断したためだ。


・・・戦車のマニアの方々、そして、もしかしたら自衛隊関係者の方々にも苦笑されてしまいそうだが(笑)

それを承知の上で、俳優さんの演技優先のセッティングをしたほうが得策だ・・・と判断した結果である。




とりあえず、これらも「映画特有の “ 楽しいウソ " 」と解釈して、こういったことをひっくるめて完成した映画を楽しんで頂ければ、と思う。



―――― そんなこんなで、風の強い晴天の日曜日・・・撮影は無事に終了した。

また、脚本上の「撮影済み」のマークが増えた。


最後に、参加してくださった出演者の皆さん、スタッフの皆さん、そして10式戦車セット関係でご協力頂いた皆さん、本当にありがとうございました!







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