★自主映画“作品BT”Report

Report.01“Prologue”

                   【御挨拶】

久しぶりに仕事から離れたところでの創作活動……自主映画を製作してみることにしました。
1997年に完成させた短編映画『砂丘の残像』より実に10余年ぶりの発動です。

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僕が高校時代に旗揚げしたちっぽけな自主製作映像集団は、その後いろいろに形と名前を変えながらも存続し、現在では「自主製作映像集団TEPPROJECT」と名乗りながら創立25周年を迎えました。

…… 25年。
けっこうな年月です。

この歳になってくると自分自身だけでなく周辺の環境も著しく変化し、仲間内の人間関係も変わってきます。
それなりに年齢を重ね、仕事上で責任あるポストについたり、結婚したり転居して疎遠になったりと……思ったよりもめまぐるしい変化です。
そんなこともあって10年前に較べると個人映画はたいへん作りにくくなっていると言わざるを得ません。
これから先、仕事から離れて自主映画を撮る機会など極端に少ないでしょう。
そんな中にも昔馴染みの絆は続いているし、新しい出会いもあり……このへんを節目にしようということで、久しぶりに一本こしらえてみようと思ったわけです。

―――― 今後、作品製作の進捗に合わせて「自主製作映画“作品BT”Report」と題し、随時状況報告をしていきたいと思います。

この“BT”は今回製作する作品の英語表記“BARAGON! Threat from the bottom of the earth”から来ています。

ときおり思い出したようにこのタイトルの日記がアップロードされるかと思いますが、大のオトナが何を大騒ぎしているんだと笑いながらお読みいただければと思います。

まず第一回目は、本プロジェクトの発足についてです。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

そもそも自主製作映像集団TEPPROJECTが過去につくってきた映画たちは、製作意欲に燃える前途有望な映画青年たちが全身全霊を傾倒して撮る自主映画、または自分のアーティスティックな感性に目覚めた人々が表現者としてのプライドの一環として撮るような映画…つまり一般的な自主映画とは、いささか趣を異にしている。

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TEPPROJECTの場合、高校時代頃から映画製作活動を始め、後には映像関連の専修学校や大学に学び、卒業後は映画・映像業界、造形・美術業界など、モノツクリの世界の片隅でコツコツと仕事を続けて自分なりのノゥハゥを確立させ、またスキルを蓄積してきた人間たち(社会人たち)が、創作活動を通して仲間となり、ときに一堂に会して「普段の仕事から離れたところで、モノツクリという行為そのものを存分に楽しんでみようではないか」という、一種の悪戯心に突き動かされて普段の生活で鬱積してきたものを放出するかのようにして撮るものであり、純粋な「わがまま道楽」でありながらも一般の自主映画の数倍の手間暇をかけてつくるという、まともなオトナの理解の範疇から逸脱した、ある意味では「大いなる無駄の堆積物」である。

そう、人生の壮大な無駄を楽しむ……もしかすると、いささか自虐的行為ともとれる創作活動である。

確かに今まで、完成した自主製作映画がムービーフェスティバルで連続入賞させていただいたとか、作品集をメジャー系配給会社がDVD発売してくださったとかテレビ放映していただいたとか、何かの映画祭で製作者本人すら知らない間に評価していただいたとか(これもまたマヌケなお話だが、その方面にひどく疎いのだから仕方がない)そういう出来事をいろいろと経験してはきたものの、それはすべて絵に描いたような「瓢箪から駒」に他ならない。

平たく言えば、ココロザシが異様に低いのである(笑)

これを四半世紀以上も続けているのだから、こんな馬鹿もザラにはいない。

……とはいえ、いちど味をしめたらやめられなくなるのも映画づくりである。

つくった映画というのは、どんなものでも完成して公開した途端、一人歩きを始める。
いろいろな人の目に触れて、いろいろな形で愛され続けていく。
作った人間たちの中でも記憶が熟成されて、宝物のような良き想い出として生き続けていく。

これはお金を出しても買えない大切なものであり、「苦労はしたが作ってよかった」としみじみ思うことも、繰り返されていく。
今までに「作らなければよかった」と思った作品は一本もない。

だから、また作りたくなる。

とくに、特撮を使った映画には愛着がある。

特撮映画をつくるには一般映画をつくる3倍から4倍の手間がかかるといつも見積もっているが、それは作業を劇的に合理化してくれるデジタル技術が普及した今でも基本的には変わらない。
技術が変化、発達しても、実際に手を動かしてモノをつくるのは人間だからだ。

それだけ苦労するぶん、愛着も強い。

普通の映画であっても、まずはキャラクター……登場人物がいかなる人間なのかをつくりあげていき、彼らが生活するに相応しい舞台も細やかに設定していく。
そして作品の「頭脳」そのものである脚本・監督の意図を反映させつつ、そこにもうひとつの頭脳である演技者……俳優の人格そのものも加わり、コンセンサスをとりながら「ヒト」そのものをつくっていく作業は殊の外、楽しい。

特撮映画では、それに加えて実写だけでは撮影不可能なイメージを再現するために各種のミニチュアセットを組んだり絵を描いたり合成技術を駆使する。
「すでに存在しているものを撮る」だけでなく「撮るために物をつくる」作業が重要なファクターとなる。
これによって世界観が飛躍的に広がる。

趣味の世界において「自主製作の特撮映画」ほどクリエイティブで「モノツクリ」を実感させてくれるものは他にはない。
人類最高の「モノツクリ趣味」のひとつである(笑)

だから、たとえ破産が心配されようが(笑)どの作品も一生に一度のこと、商売気抜きで数百万をかける値打ちがあると僕は思っている。

ここで「数千万」とか「数億かける値打ちが……」とか言えればチョット格好良いのだが、僕のような小市民のレベルは所詮こんなものである(^^;)

―――― そんなこんなで数年前からまた悪い虫が騒ぎ出し、何か撮りたくて仕方がなくなっていた。

ところが、どうも考えがまとまらない。
どんなものを撮れば、「楽しい」のだろうか?

そんなことを考えていた2007年の初春。

かねてより懇意にしていただいている「荻窪東宝」さんをお訪ねしてお茶を飲みつつ何となく自主映画の話をしていると、とある怪獣映画の話が出て来た。
                                                                                  Cap001_3   

昭和40年の東宝映画「フランケンシュタイン対地底怪獣」に登場した地底怪獣バラゴンをモチーフにして自主製作の特撮映画が撮れないか? というお話だった。
これには興味をそそられた。

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……考えてみると、僕は今まで知名度の高い既製のキャラクターの登場する自主映画というものを一本も撮ったことがない。

映画仲間の思い出話を聞いていたりすると、少年時代にドラマや特撮に興味が湧いて自分たちでも撮りたいと思い始めると、たいていはウルトラマンや仮面ライダーなどのスーツを自作してそれらしきものを撮ったり、ゴジラの人形を自作してストップモーション・アニメに挑戦したりといった話題が出てくるのだが、果たして自分はどうだったかと思い返してみるに、そういうことをした記憶が無いのだ。

これだけ長くやっているのに、そういう経験が呆れるほどまったく無いということに、我ながら奇妙な薄気味悪ささえ感じる。

D110487723_2 確かに何年か前にウルトラマンを撮ったには撮ったが、こりゃあ「趣味」ではなくて「仕事」として撮らせていただいたのである(笑)

「荻窪東宝」さんは過去に自家製のオリジナル版「ウルトラQ」をお撮りになった実績があり、僕もナレーターとして参加者の末席に加えていただいたのだが、映画好きのオトナたちが集まって少年時代から好きだった物と改めて向き合い、それをモチーフとして、単なる悪ふざけに終わらせずに作品としてキチンとつくっていくという行為の楽しさに気づかせていただいたという経緯があった。

それを踏まえた上で ―――― 正直に言えば、この歳になってこの題材を手掛けるということに多少の照れもあったのだが、それを覆すだけの楽しさが強く感じられたのである ―――― このような作品を今だからこそ撮っておきたい、今後はもう撮る機会もなかろうという思いもあり、是非「荻窪東宝」さんとの提携作品として撮ってみたいと考えた。

こうして2007年5月より、脚本の執筆が開始されたのである。

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その内容に関してはゆくゆく詳しくご紹介していくことになろうが、ここには僕が準備稿の冒頭に書いた挨拶文をそのまま引用、掲載しておきたい。

今になって、何故に古風な怪獣映画を……その答の一端がここに書かれてあり、そしてどのような姿勢でどのような方向性の作品に挑もうとしているのかもお解りいただけるのではないかと思う。

以下の青文字がその挨拶文である。

本稿は、自主製作ビデオ映画を精力的に発表しておられる映画愛好グループ「荻窪東宝」代表・河合伸幸氏の……

『昭和30年代から40年代にかけてつくられた昔懐かしい東宝特撮映画に登場する怪獣は、例えば「ゴジラ」「ラドン」「モスラ」などのように後に有名となる怪獣が単体で登場する映画がまず作られ、その後に「モスラ対ゴジラ」といった複数のキャラクターの登場する怪獣対決ものの映画が作られていったが、異色作としてマニアに人気のある「フランケンシュタイン対地底怪獣(昭和40年度作品) 」に登場する地底怪獣バラゴンには単独出演作品が存在しない。そこでバラゴン単体をテーマとした映画がもしも存在したら……という設定の自主映画も面白いのではないか』

……というお話に誘発されて書かれたものです。

執筆にあたっては、出典となる東宝特撮映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』の実際の製作時期を考慮に入れつつ、昭和30年代末期~40年代前期頃の映像的・演出的テイストと現代的な技法を融合させた作風となるように留意し、「架空の東宝特撮映画のテレビ放映用・短縮版」といった体裁になるように心がけました。
そのため、二十一世紀に作られる映画でありながらも人物設定やそのセリフ、環境、小道具・大道具の使い方などに昭和40年代初期を思わせるスタイルを採用して、観客がいつの時代に作られた映画かがわからなくなるような映画的な「遊び」を含ませてあります。
  
また前述のように本作は東宝が確たる著作権を有する映画を出典としており、そのため完成後の一般的な公開や販売等は一切行いません。
あくまでプライベート・フィルムとして製作して、営利を目的としない個人的な上映・閲覧のみを行う予定ですが、同時に参加各位の映像制作・演出・演技・撮影技術のプロモーション用としてもインナーで使用・鑑賞できるように、個人映画でありながらも出来るだけ高い完成度を求めて制作する所存です。

皆様のよきご理解を賜ることが出来れば幸甚です。

これは「イイ歳をした大人が、本気で遊ぶ」ための、映画なのです。

                                              
(文責・自主製作映像集団TEPPROJECT 代表 宮本 拓)

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